慢性の痛みをきたす疾患は多種多様であり、標準的な評価法や診断法は未確立のため、慢性の痛みを抱える患者は周囲から理解を得られにくく一人で悩みを抱えています。そのため、慢性疼痛の診療においては、診療科の枠組みを超えた集学的な対応(痛みに対して多くの視点からアプローチ)が求められます。中部国際医療センター「麻酔・疼痛・侵襲制御センター」は厚生労働省の慢性の痛み政策研究事業に基づいた「痛みセンター」として岐阜県で唯一施設認定を受け、令和4年4月に設立されました。東海・北陸ブロックの「痛みセンター」は、当院以外はすべて大学病院が担当しており、この地区で唯一の一般病院での認可となっています。当センターはこの研究事業を進め、岐阜県において地域の医療提供体制の中で、慢性疼痛診療システムの均てん化を見据え、患者さんが身近な医療機関で診療が受けられるよう、慢性疼痛診療を普及しかつ拡大していきたいと考えています。
当センターでは、痛み治療に関しては、麻酔/ペインクリニック部門、緩和センター部門と連携して「痛み診療」にあたります。集学的治療として、痛みを器質的要因だけでなく、痛みの増強や複雑化に関わる心理・社会的要因にも目を向けています。医師 (ペインクリニック専門医、精神科専門医など) を始め、各専門領域スタッフ (看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床心理士、理学療法士、作業療法士など) と連携して、一人一人の患者にあった医療を提供することを目標として診療を行います。
当センターは診療連携拠点病院として地域の病院やクリニックと連携し、双方向に紹介・逆紹介を行うことによって慢性疼痛患者さんの情報を共有して痛み診療ネットワークを作成して診療を進めます。具体的には、地域の医療機関の先生方から患者さんを紹介いただき、納得していただける治療方針がはっきりした後は、希望に沿って、紹介していただいた先生の下で加療を継続いただくことを勧めています。
慢性の痛みはそのもととなる要因が複雑であり、患者一人一人に必要な検査や治療は異なっており、初診の際には今までの治療経過などお話を伺う十分な時間をいただいております。従いまして、今までの治療施設からの紹介状をご持参いただいた上での完全予約制とさせていただいておりますのでよろしくお願いします。